公開初日の昨日に昼夜と2回観ました。 心拍数は寝ても起きても治らず、今朝は目を醒ましてから2時間弱その横たわったままでえいがさき2章のことを考えていました。
えいがさき2章はありとあらゆるクオリティが高いです。 作画も・脚本も・歌も・曲も・小ネタも・何もかもすべてです。 X上も大盛況で、商業的には間違いなく成功を収めることでしょう。
しかし、ぼくは首を傾げています。 この高すぎるクオリティのえいがさきを全く受け入れられないでいます。 この高すぎるクオリティのえいがさきを全く受け入れられない自分に、絶望しているのです。
箇条書きで挙げると:
冒頭のりなミアが手を繋いで線路を歩くシーンが「終わり」への「儀礼」感があって複雑な心境になる
栞子の歌が良い
サビ、上がるんだ
MVの出来も大変高い
彼シャツドルフィンパンツワロタ
ロリータミアテイラーが可愛い
このシーン全部英語でやってくれてありがたい
クロエ登場シーンで日本語喋っているのですら違和感を覚えるタイプの人類なので
りなあい膝枕あーこれは普段やってないとできませんね
果林さんのダンジョンに対する「なんで複雑に作る必要があるのよ」というあまりに純粋な疑問
「まね」
璃奈がミアにたこ焼きを差し出して拒否されたときの反応が面白い
ときラン……「終わり」感
「ありますよ」
入浴シーン付近
姫乃が当たり前のように同席していて、しかしあくまで背景として扱われているのが風情があって好き
特に入浴後にコーヒー(?)を入れてすぐにフェードアウトする姫乃、こういうカット大好き
果林さんの「一生続くものが家族だけだとは思わない」という発言がね、そうだよね
ミアが本心に気づくシーン
アニメではミアは深く取り上げられなかったからね、ここで初めてのミア回ってわけ
アニメでは「歌いたい」、映画では「みんなといたい」
この少し前の顔全体が髪に隠れるシーン良き
NO SIGNALエントリー激アツ
エントリー演出が公式側でミームになっているのが良いよね
1章のStellar Streamのサビでのエントリーとかね
マークII外したときのりなり、髪がはねてなくて可愛い
璃奈の歌が良い
りなミアと夜景の上パンがねえ……良いねぇ
アイドルがいて、ファンがいれば、そこがステージ
せつ菜の歌めっちゃ好き
LET'S HAVE SOME FUN!
(こんな歌詞だったんだ)
練習風景みたいな縦長のレイアウト
愛さんのカット
流れ星
6人→転調→6人→TO FINAL STAGEで古い衣装での後ろ姿
激アツ演出
虹ヶ咲をずっと追いかけてきた人にはたまらんでしょうな
クリスティーナがガチで可愛い
作画が良すぎる
1章の作画は本当になんだったんだ
上記の通り、思い出しただけでも良いところがたくさんあります。 これらはあくまで列挙しただけなので、語ればもっと長く・深く・多くなることでしょう。
しかし、疑問点もあります:
関西でやった意味は?
関西の風景・建物が映っている……それだけ?
いつも以上にモブがたくさん喋るのに、関西弁一つ聴こえてこなかったが
1章の天ちゃんの演奏に心打たれた人としては、今回はあまりに何もなさすぎだ
運営からのお知らせをアンバサダーとスポンサーが行っているのはなぜ?
アンバサダーはともかく、スポンサーが運営のお知らせを通知するのか?
それも、グランプリ中止という最も重要なお知らせを、スポンサーが?
100%株主か何か?
ただ、1章でも運営からのお知らせとしてしずくが起用されていたので、そういう運営なのだとすれば納得はできる
副会長と璃奈が偶然出会うって
少しだけ気になった
2期4話の八重洲ブックセンターがあまりに不自然すぎるので、それと同様
あの建物が虹学生の拠点だというなら納得
アランがドローンを持っていたのはなぜ?
ドローンはディスプレイをクラッキングするために使われていたけど
アラン登場以前にアプリが重くなっていたからあの場でクラッキングしたわけで
撮影用だとしたらあのMVは何だ?
露骨に「虹ヶ咲の曲ではありません」と言わんばかりの曲調・MV
それはアランという特殊な立ち位置のキャラが、MVを流したからだろう
それともあれがラブライブの「ライブ映像」として許されて良いとでも?
客観的に観た疑問点はこのくらいでしょう。 揚げ足取りレベルなので、矢張り2章は良く良く良くできている作品だと思います。
ただ、主観的に観ると、話が変わってきます。
2章を観ていて覚えた最も強い違和感は同好会の大きさでした。 ──アニガサキはラブライブの裏側のお話だと思っています。 ラブライブに出なくとも、スクールアイドルの本質は突ける。 ラブライブに出なくとも、スクールアイドルを支えることはできる。 スクールアイドルみんなで、ファンとみんなで、世界を作り上げることができる。 そういった立ち回りが、緩やかで・穏やかな立ち回りが、ラブライブを侵害することなく、しかしラブライブの本質を体現していると思っています。 アイドルは与えるだけではない。 ファンも合わせてみんなで作り上げるものだと。 μ'sの頃からの本質の一つであれば、2期でランジュが苦悩していたことじゃないですか。 それが今回はあまりに同好会が「大きすぎる」。 遥ちゃんが用意したステージで歌われていたのはNEO SKY, NEO MAP!。 ニジガクがいることを知らせると「え!? ニジガクがいるの!?」。 ニジガク以外のスクールアイドルもニジガクにべったり。 システム障害の原因となったのはランジュ・歩夢・アラン(璃奈)のライブ。 運営として顔を出したのはランジュの母とミアの姉。 一夜で作ったものでアプリをクラッキング。 運営が対処できなかった問題を(ほぼ)ニジガクだけで復興。 ヒーロー役を演じたのはせつ菜と愛。 運営に復旧の指示を煽ったのは果林。 ──おまえらはラブライブで優勝したのか? その認知度合いが・活躍度合いが、μ'sの映画に重なってしまって、やりすぎ感が否めない。 ……いや、これは虹ヶ咲の映画だ。 だから、虹ヶ咲が主役になるべきだ。 でも、だからって……。
CP厨としてはアニガサキのCPはたまらんわけです。 りなミア、良かろう。 あいせつ、良かろう。 愛とせつ菜は、しずくとかすみよろしく、唐と平安名よろしく、「あい」と「ゆうき」で関連性がありますし。 それが今回の物語のコンセプトの一つになっているでしょうから。 ……でも、ここまでしろとは思っていない。 これじゃあ百合アニメじゃないか。 ぼくはただ、「おいなんだその手は」「え何そのわかってますよみたいな態度」「なんかやべえ奴が一人いる」みたいに些細な匂わせに突っ込みながら、自身の中で反芻して・増幅して、あろうことか二次創作でイチャイチャさせるのが好きだったんです。 下衆の勘繰りが好きだったんです。 今回の描写が「恋愛」まで行くと思うのは、流石に妄想だとは思いますが。 にしても、メインストリームすぎやしませんか。 愛さんがせっつーのことを憧れていた? ずっと見ていた? そういう描写ありましたっけ。 ずっとみんなに優しくて・場を盛り上げるのが好きで・妙に璃奈と距離が近い、そんなキャラじゃなかったか。 少なくともアニガサキだけ観ている人からすれば急造カップルですよ。
アニガサキは終わりに困る作品だとは常々思っていました。 ラブライブに出ないのですから、μ'sのように優勝してその栄光の果てに伝説化することも、Aqoursのように学校は救えなかったけれど優勝という栄誉を刻んで新生活に移ることもできません。 虹ヶ咲学園が潰れるには首都直下地震でも起きて地盤沈下で崩壊するくらいしかありませんし。 2期11話もえいがさき1章も、緩やかに終わっていくように描かれていましたし、それこそがアニガサキの選択だと思っていました。 グランプリを通してメンバーの諸問題を解決していって、何かしらの形で終わるのだと思っていました。 しかし、まさか、こんな急激に方向を転換するなんて。 エヴァQの再来を見ているようだ。
あまりにテイストが違いませんか。 終始重いのも言わずもがな、グランプリ終了の知らせで発狂する黒羽咲良と綾小路姫乃の迫真の演技も、あまりに違う。 アイドルマスターか? アクション映画か? たった一人の女子高生によって全国規模の大会が乗っ取られ・限界があったとはいえ存続。 女子高生が集まって関西圏のシステムを運用してライブステージを復興。 ファンタジーか? 「ニジガクのみんな優秀すぎ」で済む話ではあるまい。 「アイドルが歌って、ファンが応援すれば、どこだってステージになる」というのなら、街に繰り出して歌って、スクールアイドルも・スクールアイドルじゃない子も巻き込んで、みんなでライブしてしまえば良かったじゃないか。 アニガサキがずっとずっとずっとうるさいほど大切にしていた「夢を見よう」というテーマはどこへ行った。 アイラは無理かもしれないとわかっていながら、ロンドンでスクールアイドルをやろうと決めた。 天ちゃんは上手く行かないかもしれないとわかっていながら、小糸とスクールアイドルを再結成しようと決めた。 それはニジガクのスクールアイドルが彼女らに夢を与えたからではないか。 そんな暖かい要素が今回にあったか? 全部ニジガクが解決してしまったのではないか。アルティメットまどか? 上中下の中だから重くするのは当然の脚本づくりという意見もあるでしょう。 でも、それは13人全員でやるべきことではないんですか? これじゃあ1章の7人が馬鹿みたいですよ。 プッチ神父のスタンドになすすべなく死んだ歴代の主人公たちのように、世界の除け者になってしまっている。 ぼくはニジガクのみんなが好きで、ニジガクのみんなが団欒しているのが好きだから、誰かが仲間外れにされるような世界を見たくありませんでした。
2度観て2度とも、愛さんのライブ中、音圧に負けながら思っていました。 夢でも見ているのか? カバネリを観ているのか? 攻殻機動隊を観ているのか? MARVELを観ているのか? コナンを観ているのか? アンパンマンを観ようとしたらワンパンマンだったみたいな。 きんモザを観ようとしたらがっこうぐらしだったみたいな。 重くて深い話を観たいなら閃光のハサウェイでも観れば良い話で。 重くて深い話を観たいならスタァライトでも観れば良い話で。 ──これは虹ヶ咲なのか? ぼくが求めていたのは虹ヶ咲であってラノベではない。
えいがさき2章は過去最高のクオリティです。 ただ、ぼくにとっては二次創作のように感ぜられたというだけです。
少なくとも現状は何も手につかないほどメンタルがやられています。 「ああ、えいがさきを純粋に楽しめないほど、俺の感情は死んでしまったんだな」と。
まあ、過去最高のクオリティであることは疑う余地もありませんから。 受け入れられるようにもう何周かします。
視聴1回目のシアターの民度が最悪だった。 右隣は上映中平気で声出して身振り手振りしながら会話する周回勢のバカタレ二人組。 左前は上映中平気で声出して笑うバカタレ。 右前は上映開始してもスマホを触り続けるバカタレ。 マナーって大事なんだなと。 いやマナーっていうか、映画館側が明示的にお願いしていることなんだけど……。 全く集中できなかった。
もっとGPXを楽しんでいるニジガクのみんなが見たかった。 もっとダンジョンに彷徨って苦しむ朝香果林が拝みたかった。 もっと可能性のあるカップリングに悶えていたかった。 ただただ思うのはそんなこと。
どうやら1章は不評だったようで。 まあ作画がアレなので。 ぼくは作画以外の出来があまりにも良すぎたので、目を瞑ることができたが。 で。 シナリオともども不評だったゆえに、河村さんと田中さんに火がついて「面白い話を書いてやろう」となったのだろうか。 実際、細部まで考え込まれた「面白い話」になっているのだから、頭が上がらない。 ただ、「面白い話を書いた」んだな、と感じてしまう。 それも手伝って、「面白い話」ではなく「虹ヶ咲」を書いて欲しかったなと。 邪推だし、言いがかりだけど。 ぼくが「虹ヶ咲」を理解しているとも到底思えないから。
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